9月16日、一冊の本の初版が出た。
「後世への最大遺物・デンマルク国の話」内村鑑三。
岩波文庫の新装版だ。
半農半X研究所の塩見直紀さんのセミナーで必ず出てくる言葉がある。
我々は何をこの世に遺して逝こうか。金か、事業か、思想か。
内村鑑三が33歳のときにした講演の言葉にインスパイアされて、塩見さんも33歳で会社を辞めて「半農半X」の伝道師になられた。
何度も塩見さんのセミナーを聞いて、この言葉は気になっていた。
が、内村鑑三の原典は読んだことがなかった。
たまたま今週、僕は札幌にいて北大=札幌農学校関連の観光もしていた。時計台、清華亭と回っていると、内村鑑三の表示をよく見た。彼は札幌農学校の第二期生だ。
そんなことがあって、昨日、ふるさと回帰フェア大阪で塩見さんのセミナーを聞いて、原典を読みたくなった。
そこで今日、紀伊國屋に行くとこの文庫が平積みされていた。
「新装版本日発売」というPOPとともに。
この種の情報縁脈炸裂時には即、アクションをするのが情報の善循環を呼び込むコツだと思う。
で、読みました。
明治という時代、坂の上の雲を目指した時代の人々の言葉は熱いですね。
前述の内村の言葉の後半をサマリーすれば、こうなる。
・・・何人にも遺し得る最大遺物・・・それは勇ましい高尚なる生涯である。
また、こんな美しい記述もある。
私に50年の命をくれたこの美しい地球、この美しい国、この楽しい社会、このわれわれを育ててくれた山、河、これらに私が何も遺さずには死んでしまいたくない。
もし内村が311後に、この国の原発村がやっていることを見たら、どのような言葉を発するだろうか。
北海道の行政の発祥は、開拓使である。
彼らのシンボルマークは北極星だ。若き行政マンたちは胸に星を抱いていた。
善くも悪くも、ひたすら星の指し示す方向に邁進できた明治初期と比べて、今、この国のカタチは木っ端微塵ではないだろうか。
内村の講演は以下の言葉で締められている。
われわれに後世に遺すべきものは何もなくとも、われわれに後世の人にこれぞと覚えられるべきものはなにもなくとも、アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを、後世の人に遺したいと思います。 (拍手喝采)
僕も僕の人生を終わる時、ほんの少しでいいから拍手がもらえたら本望だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿