2010年6月27日日曜日

鮎釣り経済学

『釣場速報』' 92/10/09掲載

暑い夏を走り抜けた鮎師の皆さん、今年の釣果は、いかがでしたか。サラリーマン鮎師の我々としては、どうやって釣行回数を増やし、1匹でも多く釣るかということに頭を悩ませ続けた夏でした。

釣行回数が増えるのはいいのですが、それに伴い出費のほうも増えていきます。鮎師の妻たちは、一家を支える男の狂乱ぶりに、思わず預金通帳を握りしめるひと夏でございました。

いったい我々は、1匹当たりいくらで鮎を釣っておるのか、平均的サラリーマン鮎師の私の場合を例にとって概算してみましょう。

まずは、竿先の計算です。今年の私は、百%金属糸を使用しました。4メートルで、鼻カン、掛け針等を含めますと竿先の合計は、約1500円というところでしょうか。その仕掛けの先につく友鮎は、500 円。つまり私の竿先には、常に2000円が、ぶら下がっているわけです。高切れ、根掛りなどしようものならその損失は、少なからぬものがあります。

今年の総匹数は、242 匹。20匹に一度仕掛けを変えたとして、1500×12=18000 、針はもっと頻繁に交換しているので仕掛け費は、20000 円と見積もっておきましょう。 そして、今年の釣行回数は、20回。平均走行距離を250 キロとして、5000キロ。リッター6、5 キロしか走らない車で、ガス代を@123 円として約95000 円。高速料金がどう少なく見積もっても、35000 円。

さらに、鑑札代。年券は、吉野川川上村と美山、20000 円なり。今年竿を出した日は、27日。そのうち、川上と美山以外が、13日。日券が、平均3000円として、39000 円。

エーイまだあるぞ。オトリが約40匹、20000 円。もう一声、宿泊費が、56000 円だ!

仕掛け  20000
ガス 95000
高速 35000
鑑札 59000
オトリ 20000
宿泊費 56000
計 285000

この経費は、全体に安めになっております。それは、この拙文を読む妻の目をかなり意識しているからです。

285000(総経費)÷242(総匹数)=1178円です!

この1178円が高いか安いかは、私には判断がつきません。

ただ言えることは、ひと夏、せせらぎの音に身を任せ、フィトンチッドに包まれ、ストレスを川に流し続けて、242 匹の天然鮎が、わが家族とわが近所の胃袋に収まり、おいしい酒を呑み、釣友と語り、川で出会った鮎師達の笑顔を胸に収めて、川遊びをする子供たちの笑い声を耳に残して、『あ~今年もいい夏だった』と心からそう思える秋を迎えたということです。

さて、来年は、1匹いくらの鮎になりますことやら。願わくば、1000円以下の鮎にしたいものです。そのためには、もっと腕を磨いて、もっと一日の数を伸ばさなくては。何せ、釣行回数を減らす気は、全くございませんので…。ごめんなさい、お母ちゃん。

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