2010年6月27日日曜日

山河有塵

『釣場速報』' 92/05/01号掲載

それにしても、岩魚というのはしたたかな魚だと思う。少々、濁っていようがゴミが多いところであろうが、しっかりと生き抜いている。滋賀県高時川水系、四月十一日。まだ寒い。骨酒が飲みたくて、今日は岩魚ねらいである。またまた雨が降っている。

北陸道木之本インターから丹生、管並を経て高時川本流沿いを溯る。まず、印象に残るのは川原の汚さである。いたる所にゴミが落ちている。そのうえ、ずいぶん山深いところに来ているのに水は澄んでこない。

大先達、山本素石さんは、『山河有情』と言う色紙を残されているが、これでは『山河有塵』である。川をゴミ捨て場と勘違いしている人が多いのには呆れる。

それでも岩魚は出た。まず、鷲見と半明間で二十センチが二匹。釣友は二三センチと十八センチ。ただし朱点がない。帰宅後、「西日本の山釣り」(山本素石著/釣りの友社)をひもとくと、この水系の岩魚は「色は甚だ悪い」と書いてあった。なるほど。

岩魚の色は悪くても、河原は春の色だ。山野草が咲き始めた。ゴミが多い割には自然が色濃く残っている不思議な川だ。黄色いミヤマキケマン、白いニリンソウ、赤いイカリソウ、そしてワサビ。駆け出し者のネイティブ・ウオッチャーにもそれくらいには分かる。

中河内でR365に出てさらに北上する。ついでに余呉高原スキー場、今庄365スキー場と冬場の遊びのために下見する。私も、釣友もスキーは、たしなむので新しいスキー場ができるのは歓迎するが、そのために北国街道沿いの川は、ますます濁ってくる。まぁ、ゴルフ場ができるよりはましか。

結局、日野川の上流で竿を出すことにする。やはり水はきれいとは言い難い。それでも、かろうじてキープサイズを二人で三匹ずつ。骨酒の素は確保したということで満足して今庄インターから帰宅の途についた。

それにしても、川のゴミと春の長雨と名神の渋滞、何とかならぬか。

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